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『Citizen Soul』というミニアルバムが発売されます。
2011年の8月に録音しました。
制作に当たり、僕たちは、ただ演奏しました。
作品という、また製品であるという、いままで無意識ではあれ設定していた
着地点を無視、度外視し、自分たちの五感が泡立つ時間のその胴体を、
大きな刀でバッサリとただ切り取ったのが『Citizen Soul』です。
愛想が悪く、気味の悪い、けれど一切嘘のない曲たちです。
■歌詞に関していえば、僕は一貫して醒めていました。
そして醒めていたいと思っていました。
音を通じて無意識下へ潜り言葉を拾い集めるという作業方法は今までと一切同じでしたが、
出来上がったものは自分でも説明のつかないほど自分の実在する世界と
具体的に強く結びついていました。
僕はいままで歌詞に関して明確な説明をしてきませんでした。
それは解釈を狭めて欲しくないという思いもありました。
(それが成功していたかどうかは正直わからない)
しかしそれよりもいちばん大きな理由は、核心を説明する言葉が、
自分にもわからないということです。と同時に、もしもそれがわかってしまったとすれば、
僕には歌詞を書く理由がなくなるということでもあります。
『Citizen Soul』の録音が終わって自分自身で気付いたことがあります。
People In The Boxの歌詞は、強いメッセージであるということです。
そして、答えは、ない。わからないということ。
■通常盤と、DVD『Cut One』が付いた限定盤の2種類で発売されます。
お値段違いますので、ご自身にあった方を選択していただければと思います。
DVDの内容はここ2年ほどのライブと、特典映像です。
ライブは大吾氏がこだわってセレクトしてくれました。
ライブは、意識もスタイルも随分変わっているハズなので少し恥ずかしいですが(笑)、
1期の総括として観ていただければ。
特典映像は「空から降ってくるvol.3」で上映した「ダイゴマンが行く」、
見どころは『Family Record Tour』のファイナル中野サンプラザで上映するはずだった
加藤隆によるオープニング映像です。
それは震災のあと、電力が足りないといわれていた為に、ライブの方向性を考慮したなかで
急遽上映を中止した映像です。
一度作業を中断して、震災後に完成したため、その空気感が封じ込められていて、
かなり強烈です。お楽しみください。
■『Citizen Soul』は余白を残した作品です。
そのスペースを、僕はとても気に入っています。
それはPeople In The Boxがなにかうまく取り繕おうとしたり、
安直な結論に逃げたりすることを一切しなかった証です。
メンバー、エンジニアさん、スタッフさん、そして2011年。
この作品の制作に関わってくれたすべての方に心からの感謝を。
そして、ライブでこの曲たちがどう変容していくか、いまから楽しみです。
■随分とたくさん解説した気がします。珍しくそういう気分だったのです。
もちろんどう受け取とるかは、自由、それはつまりあなたがどういう人か、ということです。
僕は、批判だって聞きたい。広告みたいなつまらない賛辞よりずっと。
■最後に、歌詞カードに載せようと思ったのですが、許諾の問題で載せられなかった、
僕の好きな本からの一説を引用して締めようと思います。
「今世紀の歴史とは、ギャザーの沢山入った布みたいなものではないだろうか。
人間は奥底に位置しているがゆえに、他の場所で縦横の糸があやなす模様など皆目分からないでいるのだ。
もっとも、内側に閉じ込められた自分の立場をかえりみれば、他の内側にもとらわれの人が居るのだろうと言う見当はつく筈だが、
内側の人間は自分のギャザーが布全体よりも大事になり、時の連なりを見失ってしまう」
-トマス・ピンチョン『V.』